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帯広市図書館のイメージ画像

帯広市図書館基本計画(平成12年2月)

1.はじめに
高度情報化、少子・高齢化社会への急激な進展など、市民生活を取り巻く環境は、21世紀を目前に大きく変化してきております。
本市の図書館は、大正2年に町民(当時は帯広町)の手により創設されて以来、今日まで、それぞれの時代に対応しながらサービスの充実と展開に努めてまいりました。
しかし、現図書館が建設されて以降、この30年間において、日本の公共図書館のあり方が「市民のための図書館」として著しく変化するとともに、飛躍的に充実してまいりました。
そのため本市では、平成7年度から、多くの市民、団体のご協力をいただきながら、新しい図書館の将来像と施策の方向性について調査、研究を行い、その結果、昨年度策定の基本構想を踏まえ、ここに基本計画を策定いたしました。
生涯学習の中核施設として、図書館の役割がますます重要視されるようになってきた今日、自己実現や心の豊かさを求める市民の願いに、的確に対応できる図書館機能とサービスの充実に向けて、早急な取り組みが必要となっております。
「市民の図書館」づくりは、本市まちづくりの目標のひとつである「生涯学習都市」の実現につながるものと考えており、引き続き、市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
結びに、この計画の策定にあたり、貴重なご意見ご提言をいただきました関係各位に対し、心からお礼申し上げます。

平成12年2月        帯広市教育委員会
2.目次
帯広市図書館の現状と課題

 1 公共図書館の役割と基本的機能  
  1-1 自治体における公共図書館の役割
  1-2 公共図書館の基本的機能

 2 帯広市図書館の現状と課題
  2-1 帯広市の現状
  2-2 現状と課題
  2-3 市民アンケートにみる現図書館の課題等

 3 新図書館建設の基本方針と検討経過
  3-1 帯広市図書館基本構想にみる建設の基本方針
  3-2 新図書館建設に向けての検討の蓄積

新図書館の機能とサービス
 
 4 新図書館の機能
  4-1 市民の図書館としての機能
  4-2 市の中心図書館としての機能
  4-3 モデル図書館としての機能
  4-4 十勝圏の中核図書館としての機能
  4-5 保存図書館としての機能
  4-6 文化のシンボルとしての機能

 5 サービス目標の設定
  5-1 目標設定の意義
  5-2 サービス目標値

 6 図書館サービス計画
  6-1 資料の収集
  6-2 貸出サービス
  6-3 レファレンスサービス
  6-4 地域・行政資料サービス
  6-5 児童サービス
  6-6 ヤングアダルト(青少年)サービス
  6-7 高齢者サービス
  6-8 障害者・来館困難者サービス
  6-9 視聴覚サービス
  6-10 集会、出版・PRサービス
  6-11 市役所庁内へのサービス

 7 図書館サービス網の構築
  7-1 サービス網の意義
  7-2 市内の図書館サービス網
  7-3 市内関連施設とのネットワーク
  7-4 市外関連施設とのネットワーク
  7-5 マルチメディアを活用したネットワーク
  7-6 サービス網を支える物流

 8 コンピュータの利用
  8-1 コンピュータ利用の意義
  8-2 図書館システムの導入
  8-3 所蔵資料データベースの構築
  8-4 電子メディアの活用

 9 市民参加による図書館づくり
  9-1 市民参加の意義
  9-2 図書館協議会
  9-3 市民ボランティア

10 図書館の管理・運営
 10-1 基本的な考え方
 10-2 組織・機構
 10-3 職員体制(専門職員のあり方)

新図書館の建設計画

11 建設計画
 11-1 新図書館建築の基本要件
 11-2 建築計画の基本事項
 11-3 必要スペースの内容と構成
 11-4 各種の計画
 11-5 家具・備品、サイン計画
 11-6 駐車場の規模
 11-7 新図書館の位置
 11-8 建設スケジュール

12 建設から開館まで
 12-1 建設準備専任スタッフの配置
 12-2 新図書館建設のプロセス

参考資料(諸室構成図)

3.帯広市図書館の現状と課題
1 公共図書館の役割と基本的機能

 1-1 自治体における公共図書館の役割
公共図書館は、図書館法に基づいて自治体が設置し、教育委員会が管理する教育機関であり、市民の身近にあって、だれもが、無料で利用できなければなりません。そのサービスは市民の暮らしや仕事に深くかかわっているため、サービスの普遍性と将来にわたる発展の可能性に責任をもつという観点で運営されるべきものです。
さらに、公共図書館はあらゆる資料や情報を収集提供し、市民の知る自由を保障する機関でもあります。年齢や職業にかかわりなく、多くの市民は日々の暮らしや仕事のうえで、様々な資料や情報を必要としています。市民は自分の意志で必要な資料や情報を得、それらに触発されながら学ぶことによって自分の考えをつくっていきます。地方自治はそのような市民の参画によって、より充実したものとなります。その意味で公共図書館は民主主義社会と地方自治の発展になくてはならない機関であり、市民の身近に整備することが必要です。
図書館が自治体行政に関する資料や情報を広く提供することは、情報公開の一端を担うことにもなります。なかでも地方行政資料や、地域の過去から現在、そして未来を展望する資料や情報の収集提供は、地方分権がすすむなかにあって、市民参加を得ながら主体的かつ創造的な自治体運営を推進するために益々重要になってきています。

 1-2 公共図書館の基本的機能
 1-2-1 市民への資料・情報の確実な提供
公共図書館の基本的機能は、すべての市民に対して求める資料や情報を提供することであり、このことにより図書館は他の機関や施設と明確に区別されます。情報は、必要とする市民が自ら見つけ出すことが望ましい形といえますが、古今東西の資料の広がりや、新刊出版点数が年間6万点を越えるという、おびただしい情報量の増加は、それを困難にしています。
図書館が、貸出やレファレンスという形で市民への資料や情報の提供を質量ともに確実に実施することは、様々な資料との出会いによる市民の探求や学習への意欲を誘い、新たな講座や集会行事を生みながら、市民の交流と文化創造の場を広げていくことにつながっていきます。

 1-2-2 あらゆる市民、すべての地域に均等なサービスの提供
市民がだれでも、どこに住んでいても、図書館を利用できるように、図書館はその環境づくりに努めなければなりません。図書館サービスが市内全域に均質に行きわたるためには、サービス拠点を計画的に配置し、中央図書館、地域図書館、移動図書館等で構成する図書館サービス網をつくり、一つの組織として統一したサービス計画のもとに運営していく必要があります。そのことにより、市民は身近にあるサービス拠点を窓口として、有機的に結ばれた組織体全体の蔵書の中から、必要とする資料や情報を利用することができるようになります。
また、障害者をはじめとする来館利用が困難な人たちに対して、それぞれの状態に応じた方法で図書館を利用する権利を保障することは、図書館の当然の任務といえます。

 1-2-3 専門職員(司書)による質の高いサービスの提供
図書館活動が成り立つには、資料、施設(サービス網)、職員という三つの基礎的要件があります。とくに、市民の読書要求を十分に理解し、市民と資料を結びつけるための知識と技術を習得している専門職員(司書)の充実が、図書館サービスの質を決定づけます。
近年は、図書館業務にコンピュータが定着することにより、ネットワークをはじめとする資料の検索機能は著しく充実し、それに伴って利用も増大しています。さらに市民の資料要求内容がより専門的になってきました。そのため図書館は、市民の豊かな暮らしや、精神的生活を支えるサービス理念を実現するために、専門的力量をもった司書を確保するとともに、その力が十分に発揮され、市民の信頼にこたえるサービスを提供できるような、ソフトとハード両面からの環境整備につとめなければなりません。
2 帯広市図書館の現状と課題
 2-1 帯広市の現状
帯広市は、北は大雪山系、西は日高山脈に囲まれた広大な十勝平野のほぼ中央に位置し、618.94km2に及ぶ広大な面積を有しています。市街地は早くから開発された市域の北側に集中し、南は大規模畑作地帯が占めています。市の人口は17万5千人で、北海道で5番目の人口規模を誇り、市を含む帯広圏は札幌圏を除き唯一現在でも人口が増加している地域です。また、少子・高齢化は年々進んでいますが、市民の平均年齢は約37歳と全国的に見ても若い人の多い街です。
基幹産業は農業であり、生産性の高い大型機械を導入した大規模畑作経営が行われています。また、商業やサービス業などの第三次産業も盛んで、北海道東部における商業機能の集積地ともなっています。
昭和34年、全国に先駆けて計画的な街づくりのための総合計画を作り、豊かな田園的色調を基本に、北方の風土を代表するのびのびとした自然環境と、快適な都市機能とが共生する「田園都市」の形成をめざしてきました。
平成5年には、帯広市、音更町、芽室町、幕別町の1市3町が全国ではじめて地方拠点法の指定を受け、帯広圏域の広域事業計画の展開も図られています。
さらに平成12年度から10年間の第五期帯広市総合計画では、「人と自然が共生する可能性の大地-新世紀を拓く田園都市おびひろ~緑ひろがる北のフロンティア~」を基本方向に、5つの目標として、安心安全都市、産業複合都市、環境共生都市、生涯学習都市、広域連携都市の実現をめざしながら、21世紀に向けた新しいまちづくりをすすめようとしています。
このように帯広市は、大自然という恵まれた環境を基本としながら、産業・経済、教育・文化、医療・福祉など、あらゆる分野で計画的な都市づくりをすすめており、今後、十勝圏のみならず、北海道の発展を担う中核都市として期待されています。

 2-2 現状と課題
帯広市図書館の歴史は、大正2年の十勝教育会による巡回文庫に始まり、私たちは図書館に対する先人の思いを受け継ぎながら、この歴史的重みを今後も継承し続ける必要があります。
現在の図書館は、帯広駅から約800mの位置にあり、市役所からも比較的近く、交通の便が良く、立地条件としては優れた位置にあるといえます。
施設は昭和43年に建設された鉄筋コンクリート造で、延床面積1,760m2(現在は分室を含め2,040m2)の規模を有しています。
しかし、この図書館建築後の30年間は、わが国の公共図書館のあり方について根本的な見直しが行われてきた時期と重なります。それは、図書館の基本理念=『市民のための図書館』への志向、図書館の基本的機能=『資料提供』の重視、そして基本的機能実現のための方法論=『徹底した資料の貸出』の実施というように、公共図書館サービスの根幹を本質から改める大きな転換でありました。
建設当時は斬新的であったデザインも、現在の公共図書館では殆ど見られない閉鎖的な閉架書庫を前提とした設計であり、開架図書や閲覧スペースの狭隘、一般と児童閲覧室の分離、利用者用エレベーターがないなど、図書館利用とサービス提供の有り様が、現在とは根本的に異なった考え方でつくられております。また、現状の施設は多くの市民による様々な活用という観点からはたいへん利用しづらい施設であり、コンピュータ化への移行、ネットワーク化の整備、市民の自由な閲覧という環境づくりを実現することは至難となっております。
近年は、文化的課題への市民要求の高まりが著しく、このような時代的背景を意識するとき、現施設の老朽化と狭隘化の問題は、図書館サービスの質的な向上を阻害しているといえます。
市図書館の平成10年度の年間貸出冊数を全国の人口15万人以上、20万人未満の34市立図書館のそれと比較すると、27番目に位置します。(『日本の図書館 統計と名簿1999』-日本図書館協会編より)。特に、人口同規模の宇部市(山口県)では114万冊の貸出を記録していますが、帯広市はその半分以下の40万冊代にとどまっています。
図書館サービスの評価を貸出冊数のみで判断すべきではありませんが、本市の人口規模からして、潜在的な利用者は多数存在しているものと考えられます。しかし、現図書館の開架部分の不足などに象徴的に見られる狭隘化は利用意欲も阻害しているといえます。
児童サービスにおいても、子どもたちを引き付けるための様々な工夫がなされていますが、狭い室内に高書架が数多く並ぶなど、子どもたちの視点にたった設計がなされていないため、のびのびと利用できる環境とは言えません。今後、子どもたちの目線にあった施設づくりが必要です。
地域・行政資料については、相当のコレクションが形成されており、この地域を知るための貴重な資料の保存と活用が、市図書館の重要な責務です。そのため、公開性を高めるとともに保存体制を確立する必要があります。
広大な行政区域の隅々までサービスを展開するために移動図書館車を走らせたり、市民文庫やコミュニティセンターへの配本活動を行ったりしていますが、地域に根ざした図書館サービスの展開においては、図書館職員のいない現在のコミュニティセンター図書室の整備、再編が必要です。現在、構想中のサテライト館の具現化をステップとして、将来的には地域図書館の整備を視野にいれた図書館サービス網計画が必要です。
また、各種の読書会や研究会も、図書館の土台を支える重要な役割を担うものであることから、今後もこれらの団体への援助、支援活動を行っていく必要があります。

 2-3 市民アンケートにみる現図書館の課題等
帯広市教育委員会が実施した市民及び利用者のアンケート結果からうかがえる現図書館の課題等は、次のように集約できます。
新しい図書館に期待するサービスの上位4つの回答は次の通りです。

 1. 誰にでも簡単に資料の検索ができる設備
 2. 開館時間の延長
 3. 新着図書の案内
 4.資料探しの手伝い

これらは、現図書館で日常的に不便を感じている結果の表われであり、設備面とサービス面の限界に起因するものです。
また新しい図書館の特色として期待するもの上位3つの回答は次の通りです。

 1.滞在できる図書館(各種催し、屋外テラスでの読書、軽飲食等)
 2.情報化社会に対応した図書館(コンピュータによるネットワークの構築)
 3.調査・研究のできる図書館(多様な資料・情報の提供を可能にする等)

滞在できる図書館は、従来からの図書館機能に加え快適にくつろげる場として期待する市民意識です。また、情報化社会に対応した図書館、調査研究のできる図書館は、ともに近年の著しい通信技術の発達に即した多様な情報収集(提供)を求める市民意識であり、近年建築された図書館の事例からもこれらの傾向は顕著であるといえます。以上の内容は、各種の市民団体からの聴取意見においても同様の傾向となっています。
3 新図書館建設の基本方針と検討経過
 3-1 帯広市図書館基本構想にみる建設の基本方針
    (『帯広市図書館基本構想ー新しい図書館づくりにむけてー』より)
新しい図書館は、21世紀初頭から半世紀以上利用しなければならない市民施設です。田園都市帯広が持つ地域特性を建築と周辺整備などに生かしながら、図書館の全体構想を踏まえ、市民利用を重視し、しかも計画から運営まで市民の参加を得て、息の長い図書館づくりをすすめることが必要です。新館にとっては、この地道な取り組みこそが基本的で持続的な視点であります。

(1)市民参加の図書館づくり
   『市民の図書館』
新館の位置づけに向けて、既に、市民アンケートや検討会議等による構想内容の検討が行われましたが、引き続き、建設計画以後においても同じように、市民の意見、活動を反映させていかなければなりません。特に、開館後は市民と行政が知恵を出し合いながら図書館の本来的な利用はもちろん、ボランティア活動、図書館講座、展示会などを通して市民が自主的に参加、企画、運営のできる体制づくりをすすめる必要があります。
また、市民主体による本のリサイクル市などが開催できるような条件を整えたり、蔵書充実のため多くの市民の協力が得られるよう工夫すべきです。

  『十勝圏民の拠点図書館』
十勝圏の20市町村が保有する蔵書総数は約130万冊であり、これを37万人の圏民に還元する資料・情報のネットワーク化とサービス体制づくりへの長期的な展望が必要です。さらに、地域に関する行政情報、企業情報、学術情報等を集積させた「とかち地域・文化情報センター」として、新たな広域的役割についても検討すべきです。

(2)利用しやすい図書館づくり
  『将来の利用を見据えた図書館』
建設にあたっては、すべての市民にとって「将来にわたり利用しやすい図書館」が求められています。
利用しやすさの基本は、日常型の市民施設である図書館として、機能・規模・位置を重視することにあります。言い換えれば、本館は将来の分館構想を含めた図書館サービス網計画の中核施設として、十分な機能を発揮できる規模が必要であり、また、人口動態や交通体系を十分に考慮し、市民が利用しやすい位置につくる必要があります。このことが結果的に、身近で利用しやすい図書館として利用者層の拡大となってあらわれることになります。

(3)環境建築としての図書館づくり
  『環境と共生する図書館』
帯広の気候、風土の特徴といえる「光・風・樹」を生かし、長期間利用可能な、機能的でシンプルなデザインの公共建築を目指すべきです。そのためには、周辺環境と図書館の特性に配慮しながら、自然通気や自然光を取り入れるなどの工夫が必要です。そのなかから田園都市にふさわしい環境共生型の図書館が生まれます。また、それは子供、障害者、高齢者をはじめ市民の誰にでもやさしく、利用しやすい図書館づくりへとつながります。

 3-2 新図書館建設に向けての検討の蓄積
帯広市では生涯学習、情報化時代が進展するなかにあって、老朽化・狭隘化や構造上の制約から、既存図書館では市民の求める資料と情報を的確かつ迅速に提供するという図書館本来の機能が十分に果せず、新図書館建設にむけての検討の蓄積をしてきました。
主要な提言・報告とその内容については以下のとおりです。

 3-2-1 『新帯広市図書館建設提言書』
     :新しい図書館を考える市民委員会 平成9年2月26日

平成7年5月に委嘱された標記委員会は、帯広市の新しい図書館像について、役員会、部会による協議を経て本提言書をまとめています。
提言書では、以下の5項目で図書館建設の意義を述べています。

(1) 情報資料を収集蓄積し、提供する図書館
(2) 自由時間と社会教育
(3) 文化を育む図書館
(4) こんな図書館が欲しい
(5) 新図書館の早期建設を

理想の図書館像として具体的に以下の7つを挙げています。
  1. 十勝の風土にふさわしい、そして異なる立場と生活を送る人々の共生の時にふさわしい図書館
  2. 十分なスペースをもち、ゆったりとして心からくつろげ、利用しやすい図書館
  3. 明るく親しみやすく、すべての市民に開かれた図書館
  4. 身近な、誰でも気軽に行ける楽しい図書館
  5. 帯広のみでなく十勝の文化発展と向上を目指す情報センター、あるいは知的所産の核としての図書館
  6. 人および物と情報の国際化に十分対応し得る図書館
  7. すべての地域の人々および世界の国々の人々が利用でき、必要な情報を入手できる図書館

 3-2-2 『新しい図書館の開設に向けて~提言書』
     :新図書館へ提言する委員会 平成10年10月30日

平成10年7月に発足した標記委員会は、上記3-2-1の提言書を基に調査検討の結果、新図書館に向けて以下10項目に提言をまとめています。

 (1) 図 書 館 像:情報化社会、高齢化・生涯学習時代に対応し、市民文化の中心施設としての役割
 (2) 役    割:生涯学習施設として「自己学習・自己創造」を手助けする図書館
 (3) 位置と規模:市民が「将来にわたり利用しやすい」位置、蔵書約60万冊、規模8,000m2以上
 (4) 蔵    書:開館時の蔵書36万冊(市民一人当たり2冊)、うち開架20万冊程度、新聞約50紙、雑誌約400誌
 (5) 電  算  化:「図書館情報システム」の確立
 (6) ネットワーク:市内の小中学校、他の図書館、市民施設等とのネットワーク 及び十勝管内の図書館とデータを共有する「情報型図書館」
 (7) サ ー ビ ス:
    1 「開館時間の延長」「夜間開館」の検討
    2  基本児童図書の複本化、お話し会などの充実
    3  対面朗読・録音図書作成・宅配サービスなど障害者サービスの充実
    4  郷土資料・行政資料の徹底的な収集、資料の電子化
    5  視聴覚資料8,000点程度の収集整備、ミニ・シアターの設置
    6  BDS(未手続き図書持ち出し防止システム)装置の導入
   全域サービス:本館、分館、サテライト機能、市民文庫、コミュニティセンター、移動図書館の役割分担の検討
 (8)「(仮称)図書館友の会」の立ち上げ
 (9)専門的スタッフの確保・配置、研修
 (10)建築デザインの基本方針

 3-2-3 『帯広市図書館基本構想答申書ー新しい図書館づくりにむけて』
     :帯広市図書館協議会 平成11年1月22日

帯広市図書館協議会は、上記二つの提言書や、市民・利用者アンケート、市民の意見・提言、先進都市の事例等を参考に基本構想を以下の5章にまとめています。
 (1) 現状と課題
 (2) 新館の基本的視点
 (3) サービスの新たな展開
 (4) 新館の役割
 (5) 位置・規模の考え方

 3-2-4 『帯広市図書館基本構想ー新しい図書館づくりにむけてー』
     :帯広市教育委員会 平成11年2月16日

帯広市教育委員会は、地域社会の発展と生涯学習の振興をめざした、帯広・十勝にふさわしい新しい図書館の将来像と施策の方向性を示す基本構想を策定しました。
 記述の内容は、上記3-2-3の答申書とほぼ同様です。
4.新図書館の機能とサービス

4 新図書館の機能
帯広市の新図書館は、情報社会、生涯学習時代に対応した総合力のある図書館をつくることを基本理念に、次の機能を中心に整備します。

 4-1 市民の図書館としての機能
図書館はだれもが無料で利用できる施設であり、幼児から高齢者まで幅広い層に対して行政サービスを行うことができる機能を有しています。
現在の図書館は、閉架書庫に収蔵されている本が多く、市民の目に触れる資料がきわめて少ない状況にあります。市民の財産であるこれらの資料を開架し、豊富に用意された本の中から市民が直接、自由に選ぶことができるようにすることは「市民の図書館」としての基本的な機能であり、新館の最大のメリットとなります。
さらに、これらの資料を十分に活用し、多種多様な問い合わせに答えていくレファレンスの充実は、市民の図書館を支えるもう一つの柱となります。

 4-2 市の中心図書館としての機能
図書館のサービス網は中央図書館を核として、市内に配置された地域図書館と、移動図書館のサービスポイントで構成されます。したがって、将来的な図書館サービスを考えるとき、地域図書館の設置は避けて通ることはできません。しかし、現状の図書館の老朽化、及び狭隘化等の問題が市民サービスに与える影響は多大であるため、図書館サービス網の整備においては、中央図書館としての機能を充分に果す新館建設を最優先で考えます。
新図書館は、将来の全域的な図書館サービス網を前提とし、地域図書館、あるいは移動図書館のサービスポイントを支える中心施設としての機能をもつとともに、市内の学校図書館や地域の教育文化施設との連携を図る、ネットワークセンターとしての機能も整備します。

 4-3 モデル図書館としての機能
図書館の資料や業務内容の電子化については、図書館が『情報提供の場』であることから早急に整備しなければなりません。特にインターネットは、通信部分における基盤整備が世界的に整っていること、双方向性があることなどから、図書館における積極的な活用を図ります。
また、近隣町村に比べて遅れている収蔵資料の電子化も早急な対応が必要です。資料の電子化は、図書館の基本機能を支える情報検索や、インターネット等による資料情報の開示、そしてネットワークを介しての相互協力体制の要となるものです。十勝圏で最も多くの収蔵資料を持つ帯広市のデータベースは、圏域全体の利用要求に応える有効な情報源であり、それらのサービス体制のモデルとなるような機能を備えます。

 4-4 十勝圏の中核図書館としての機能
先進地域における図書館は、市民の多様な資料要求に応えるため、相互にネットワークを組むことにより提供資料の厚みを増し、蔵書の有効活用を図っています。十勝圏においてもこのような図書館サービスの充実を図るため、管内の町村と連携して広域ネットワークづくりを進めるとともに、相互協力の核となる図書館としての機能の整備を行います。

 4-5 保存図書館としての機能
 資料と図書館は、人間の血液と身体にたとえられますが、新鮮な資料の供給は、活力ある図書館に不可欠なものです。しかし、利用頻度が落ちたり、古くなったりした資料にも価値が温存されているものがあり、個々の資料が将来どのような形で活用されるかを判断し、それを残していくことも図書館の重要な役目です。
 特に、地域に関する資料や行政資料については、最終的にその自治体が責任をもって収集し、保存しなければなりません。現図書館においても貴重な地域資料を数多く所蔵しており、これらを積極的に利用に供するとともに、永く将来に引き継いでいくという役割を今後も担っていきます。

 4-6 文化のシンボルとしての機能
図書館は先人たちによって創造された知識や文化を資料(情報)という形で集積し、提供することによって、新たな創造を生み出す機能を有しています。これは、それまでの時代や地域の知識と文化の集大成が、図書館という空間に存在するということであり、それらを包み込む新図書館は帯広市民にとって文化のシンボルであるといえます。
 図書館にいる安心感、充実感、そして図書館特有の包容力が人々に与える影響は大きく、このことは近年の図書館建設における大きなコンセプト(基本概念)のひとつになっています。市民の文化活動を支える場としての機能を持ち、都市に同化した施設をつくることによって、市民の誇りとなるような、具現化したシンボル=『場』としての図書館の存在を意識的に表現していきます。
5 サービス目標の設定
 5-1 目標設定の意義
図書館は利用されることによって、時とともに規模や質が拡大・深化し、さらに次の段階へと有機的に発展していくものであると言われます。
新しい図書館を建設しようとするとき、将来の成長発展の道筋を想定しておくことは、きわめて重要なことであり、活動が開始され一定期間を経た後に、想定された道筋と実際の展開とを比較することによって、活動の問題点やその後の方向性を考える機会が得られます。また、目標を職員が共有することによって、活き活きとした行動性の高い組織が生まれます。
図書館サービスを評価するには、一般的に年間貸出冊数を基礎とするため、ここでの目標設定においてはこれにならうこととします。貸出冊数だけが図書館サービスの全てではありませんが、貸出の多い図書館ではレファレンスや閲覧なども多く、貸出冊数がその図書館の活動を集約的に表現しているからです。
サービス目標値は、中央図書館のほか、地域図書館、移動図書館のサービスポイント等を適切に整備した状況を前提に算出しますが、他の計画と整合を図りながら、段階的に整備目標を想定します。

 5-2 サービス目標値
目標の算出基礎になるのは図書館のサービス対象人口です。
帯広市は、緩やかな人口増加をつづけており、平成21年には188,000人と想定しておりますが、長期的には20万都市を想定しているため、図書館のサービス目標値を以下のように定めます。
目 標 時 新館開館時 平成21年 平成XX年
1 サービス人口 181,000人 188,000人 200,000人
2 個人貸出登録率 15% 20% 30%
3 個人登録者数 27,150人 37,600人 60,000人
4 市民1人あたり貸出冊数 4冊 5冊 6冊
5 年間貸し出し総数 724,000冊 940,000冊 1,200,000冊
6 必要開架冊数 220,000冊
(本館200,000、コミセン等 20,000)
230,000冊
(本館200,000、コミセン等30,000)
360,000冊
(本館200,000、コミセン等60,000、地域図書館 100,000)
7 総蔵書冊数 360,000冊 430,000冊 600,000冊

1 サービス人口は推計値
2 個人貸出登録率は「公立図書館の任務と目標」(平成元年)の示す数を将来目標とする
3 個人登録者数は  1×2
4 1人あたりの貸出冊数は「公立図書館の任務と目標」が示す6冊を将来目標とする
5 年間貸出冊数は  1×4
6 開架冊数は本館の200,000冊を基本とし、コミセン等の開架冊数がそれに加わる
7 総蔵書冊数は市民1当たり3.0冊を将来目標とする

6 図書館サービス計画
 6-1 資料の収集
図書館を構成する重要な要素の一つは資料です。そのため、収集された資料の質と量によって図書館の利用は大きく左右されます。したがって、開館に先立って利用者の潜在的な要求を的確に把握し、大多数の市民が満足するような蔵書構成(魅力ある資料配置)を実現するために、新たな「収集方針」と「保存(除籍)基準」を策定します。

  6-1-1 収集方針
収集方針は、図書館の目的にそって作成された運営方針のうち、資料の収集についての基本的な考え方、収集計画の方向を示したものです。
新図書館では次の点に留意して収集方針を策定します。

1 市民が求める資料を収集することを基本とする
 図書館は、市民が必要とする資料を収集し、提供することが原則です。それはまた、市民の「知る権利」を保障することになります。

2 多くの市民が満足できるような収集に心がける
 市民は、一人ひとりがその考え方、思想、経験、生活条件を異にします。したがって、図書館に対する市民要求も千差万別となるため、図書館にはあらゆる分野の多様な資料が必要となります。

3 資料の選択は、図書館の自律的な基準に従って行う
 図書館以外の個人、団体、組織などの意向によって、特定の資料や分野が収集から除外されるなどということがあってはなりません。
資料選択にあたっての基本的な視点は下記のとおりです。
・多様な対立する意見のある事項については、それぞれの観点の資料を幅広く収集すること
・著作者の思想的、宗教的、党派的立場にとらわれて、その著作を排除しないこと
・職員の個人的な関心や好みによって選択しないこと 
・寄贈資料についても上記の点に留意すること

4 あらゆる形態の資料を収集対象とする
図書、雑誌、新聞、紙芝居、布の絵本、逐次刊行物、パンフレット類のほか、CDや録音テープ、ビデオテープ、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)などのAV資料、CD-ROM(読み取り専用コンパクト・ディスク)や各種ソフト類など。

5 地域資料を積極的に収集する
 帯広市の姉妹都市や、国際交流関連図書、地元関連作家を含む帯広・十勝地域に関する資料、十勝で刊行された資料については、網羅的に収集します。

6 管内や道内の図書館、類縁機関(博物館・研究機関資料室、学校・大学図書館等)との密接な連携、協力を前提として、適切な役割分担を検討する

  6-1-2 収集計画
収集計画は、収集方針に基づいて将来の一定期間にわたる具体的な蔵書構成の目標を年次計画化したものです。収集方針が基本的な考え方であるのに対して、収集計画はより実務的で、期間、予算の裏付けなど、一定枠の中での方針を具体化するものです。
 新図書館では10年間の計画を基本に、年度ごとに重点課題、重点目標を設定するなど、市民生活に密着した収集計画の策定をすすめます。

  6-1-3 保存(除籍)基準
 図書館資料は、年々増加しますが、スペースが有限である以上、一定の基準のもとに保存資料を選択し、他は除籍しなければなりません。保存(または除籍)の判断は、「第二の選書」もと呼ばれており、収集方針同様、新たな「保存(除籍)基準」を策定します。
 「保存(除籍)基準」は、図書館の置かれた条件によって異なります。将来的には道立図書館の支援体制を基に、雑誌のバックナンバーや利用頻度の落ちた資料は廃棄し、また、他の図書館との分担保存体制の確立により、自館が担当する分野について責任をもって保存することになります。
 しかし、このような場合でも、地域資料の収集に責任を持つという観点から、地域に関する資料や、地域で刊行された資料は、原則としてすべてを恒久的に所蔵しなければなりません。
 新図書館では、市民が必要とする資料を迅速、確実に提供できる体制を整える一方、十勝の中核図書館として、類縁機関との協力や連携を図りながら、保存についての検討をすすめます。

 6-2 貸出サービス
 貸出は、市民と図書館を結ぶ基礎的なサービスであり、図書館を多くの市民のものとするための最も有効な方法です。この貸出を土台にしてはじめて他の図書館サービスが意味を持つことになります。
 したがって、新図書館では20万冊の図書を開架して利用者が自由に取り出して選べるようにしたり、ゆったりとした雰囲気の中で雑誌や新聞を読むことができるようにします。
また、貸出サービスの拡充を図るため、開館時間の延長や、貸出手続の簡素化をすすめるとともに、団体貸出や広域的な貸出を視野にいれた貸出条件の検討をします。

  6-2-1 貸出カウンターと読書案内
 貸出カウンターには、図書館へのあらゆる質問が寄せられます。リクエストの申し込み、複雑なレファレンス、要望や意見に至るまで、図書館の総合カウンターとしての役割を果たすことになります。したがって、経験豊富な職員(司書)の配置により、状況に応じた適切な対応を行います。
 特に利用者と職員の対話が必要なリクエストの受付や読書案内などは、貸出カウンターとは別に専用の相談カウンターを設けるなどの工夫をするとともに、サービス業務を円滑にするための補助手段として、自動貸出機を導入します。
 読書案内は、利用者が求める資料を探し出す援助をすることです。カウンターでの資料案内はもとより、利用者自身が自由に図書選択ができるように、新着図書のリストや特定分野別ブックリスト(図書の一覧)などを作成し、多くの図書と利用者の出会いを積極的に図ります。

  6-2-2 リクエスト制度と相互協力
 市民の求めに応じ、貸出中の資料や自館に所蔵していない資料を提供するサービスがリクエスト制度です。このサービスを確実に実施することによって、図書館は市民に信頼され、強い支持を得ることができます。市民の求める資料を購入等により自館で提供できるようにつとめるとともに、国立国会図書館や道立図書館、市内の大学図書館や他機関との相互協力体制づくりをすすめます。

  6-2-3 複写サービス
 著作権法第31条は「利用者の求めに応じ調査研究のため自館の資料の一部を複写」することを認めています。図書館の蔵書には館内閲覧のみの資料もあり、これらの資料の複写サービスに応ずるとともに、マイクロ化された資料の複写にも対応できるようにします。

 6-3 レファレンスサービス
 貸出と並ぶ重要な機能として、レファレンスサービスがあります。レファレンスサービスを十分に機能させるには、専門的な知識を持つ職員を配置するとともに、辞書・事典類や年鑑、書誌、白書、統計類など、新鮮で豊富な資料を備え、CD-ROMや、インターネット等も積極的に活用します。また、貸出カウンターでは処理しきれない複雑な資料調査や、具体的な事実の確認などには、専用のレファレンスコーナーで対応します。

 6-4 地域・行政資料サービス
地域・行政資料とは、従来の郷土資料に加え、公的機関が発行する資料をも含めたものを言います。市民にとって地域資料は郷土を学ぶ上で貴重な情報源であり、公開された行政資料は、市民のまちづくりへの積極的な参画のきっかけづくりに役立つものであり、自治体の科学的・合理的な政策立案に必要なことです。市図書館には、アイヌ語やアイヌ民俗に関する吉田巌資料、沼田武男資料、中城ふみ子関係資料など、きわめて学術的・文化的価値の高い資料もあり、これらについては、関係機関との連携を深めながら整理保存し公開につとめます。

 6-5 児童サービス
 最近では、子どもたちが自ら学び考える力を習得するうえで、図書館がきわめて重要な役割を果たすことが意識されるようになってきました。
 しかし、一方では子どもの興味を惹きつけるさまざまなメディアや遊び道具の出現、塾や稽古事の低年齢化など、子どもたちをとり巻く環境が以前に比べて大きく変化し、そのことが図書館利用にとってはマイナスの要因となっています。
 新図書館では、本や子どもたちに対して深い知識と愛情をもった専門職員を配置するとともに、質の高い資料の複本による収集や、子どもたちが関心を寄せる資料の収集にも柔軟に取り組み、楽しく自由でのびのびできる空間づくりを進めます。また、館内は勿論、幼稚園や学校へ出向いてブックトークやストーリーテリングを実施したり、乳幼児をもつ親たちに働きかけたりするなど、児童サービスのあり方に一層の工夫を図ります。

 6-6 ヤングアダルト(青少年)サービス
 十代を中心とする若い世代は、読書離れが著しい反面、もっとも多感で読書から多くのものを吸収しうる世代であるといえます。
 新図書館では、大人への過渡期にある彼らが関心を持つ映画や音楽、恋愛や性、社会問題、将来の進路などに関する資料を積極的に収集し提供するとともに、自由に意見や作品を発表できるノートや、情報交換のための掲示板を置くなどにより「交流の場」づくりをし、利用者層の拡大につとめます。
また、自我を意識する年代でもあり、一般成人や、視聴覚コーナーと隣接させた独立したコーナーとします。

 6-7 高齢者サービス
 平成7年の国勢調査によれば、帯広市は市民の平均年齢や高齢者の割合が全国平均を下回る若年型の自治体といえます。しかし、それでも高齢者の割合は確実に増加しており、今後市民の高齢化はさらに進むものと推定されます。
 このことから、高齢者に対しては、図書館の重要なサービス対象として積極的に位置づけなければなりません。
 近年図書館を訪れる高齢者の特長は、目的意識を持ち、退職後の人生を積極的に創り上げようとする意欲に満ちているといえます。そうした利用者には、知識を社会に還元するための援助に取り組みます。また、大活字本を充実する一方、館内には拡大読書器を備え、新聞の縮刷版などの利用に便宜を図るとともに、施設面では、長時間の滞在に対応できる静粛読書室などを整備します。

 6-8 障害者・来館困難者サービス
 公共図書館はすべての利用者に、等しくサービスを提供することを任務とします。とりわけ活字情報をそのままの形では利用できない視覚障害者や、図書館に来館することの困難な市民は、日常的に情報から遠ざけられやすい状況にあります。
 こうした市民に対して、図書館は積極的な資料提供を図ります。
視覚障害者に対しては、録音図書や拡大写本、点字資料を相互協力や自館作成によって提供するほか、対面朗読サービスも必要となります。また、肢体障害者に対する墨字資料(活字資料)の郵送・宅配サービスや、聴覚障害者に対する手話通訳やFAX活用サービス、さらに病院の入院患者に対する貸出サービス(アウト・リーチサービス)などの実施も検討します。
 また、市の福祉部門や、市内にある福祉施設と密接な連携や協力体制を整えるとともに、特に北海点字図書館との間では役割分担を図りつつ、連携して障害者サービス向上の拠点となるようにつとめます。

 6-9 視聴覚サービス
 CDやカセットテープ、ビデオテープ、DVDといったいわゆる視聴覚資料(AV資料)は、活字では得られない直接的な情報を伝えるものとして、広範な利用者層に支持されており、図書館には不可欠なものになっています。新図書館では、できるだけ多様な資料を整え、貸出しを実施するとともに、館内においては視聴用ブースを設け、利用の促進を図ります。
また、AV資料を活用した集会や講演会、映画会等が開催できるような多目的視聴覚室を整備します。
なお、視聴覚サービスは、それ自体きわめて専門的な独立したサービス分野であるため、市民要望に的確に応えられるよう、視聴覚資料と機器に精通した職員の養成・確保にもつとめます。

 6-10 集会、出版・PRサービス
 図書館サービスには、集会、出版活動というもうひとつの側面があります。
 図書館の基本的な機能である資料提供を、さらに発展・深化させるために、講演会や映画会、展示会といった集会活動に取り組みます。
また、図書館報に代表される図書館PR紙(誌)は広く利用者に図書館サービスの内容を知らせるために必要なものであり、図書館要覧は市民への行政報告ともなります。
 現在図書館では、『帯広叢書』や『市民文芸』『図書館要覧』等を刊行していますが、新しい図書館を構想するこの時期に、これらの事業の長期的な展開について改めて検討していくとともに、さらなるPR活動に積極的に取り組みます。

 6-11 市役所庁内へのサービス
 図書館資料の中には、政策立案や課題解決に役立つ資料が豊富に蓄積されています。しかし、そうした有用な資料の存在が十分認識され、利用されているとはいえません。図書館はまず市民へのサービスを第一義としますが、同時に自治体の職員が業務上で資料を必要とした場合、いつでも求める資料を入手できる体制を整える必要があります。こうした庁内へのサービスは、図書館の果たす役割を自治体職員に理解してもらうためにも、きわめて有効な方法であり、結果的には市民サービス向上につながっていきます。
7 図書館サービス網の構築
 7-1 サービス網の意義
公共図書館のサービス目標は、「だれでも、いつでも、どこでも」その求める資料や情報を利用できるようにすることであり、図書館サービスとは、全市域を覆うサービス網と、それによって実施される資料提供機能そのものを言います。帯広市は、早期開館を目指して図書館づくりをすすめていますが、それは同時に新たな図書館サービスがスタートすることを意味します。将来的には、中央図書館を核に、地域図書館や移動図書館をつないだ図書館網の形成をめざします。
一方、十勝圏の中核図書館としての役割も期待されており、管内の図書館との相互協力体制を確立し、他市町村、都道府県、国の図書館組織や館種の異なる図書館組織と協力関係をつくることにより、広範な図書館ネットワーク網が形成され、サービス目標に近づくことが可能となります。

 7-2 市内の図書館サービス網
 市内の図書館サービス網の構築は、中央図書館を中心に、地域図書館及び移動図書館のサービスポイントの配置によって行われるのが基本的な形態で、これらが有機的に結合することによって、より広範な全域サービスの展開が可能となります。
(1)中央図書館
 市全域を対象にした直接利用に応え、貸出とレファレンスサービスを主な役割をするとともに、図書館サービスシステムを統括・支援する中枢機能を担います。
(2)地域図書館
 日常生活圏内における身近なサービス拠点として、予約や検索、貸出などの直接的、実務的なサ-ビスを受け持ちます。資料はすべて開架とし、常に新鮮な蔵書を供給することにより地域住民の利用に応えます。
(3)移動図書館
 人口密度が低く固定館が成立しないような地域に対して、サービスステーションを拠点とし、貸出サービス、予約サービスを行います。
 サービスポイントの配置は、図書館の利用圏域の設定、地域特性の把握、サービス対象人口等をふまえて、個人貸出登録率や1人当りの貸出冊数の数値等によって設定します。
 具体的には、中央図書館の位置を決定し、上記の要素を加味しながら地域図書館の配置計画を設定します。
 市民にとって身近な地域に図書館機能があることは望ましいことです。そのため、現在のコミュニティーセンターにある図書室は、地域の特性や自主性にあわせた施設(=現在構想しているサテライト館)として、地域図書館という位置づけをし、所蔵資料情報の一元管理などを行う必要があります。
 とりわけ、交通結節点である都心部においては、他機能との複合施設として都心部サテライト館の整備が必要です。
また、現在実施の移動図書館サービスや市民文庫への支援についても、日常生活に密着した、特色あるサービス拠点として位置づけるなどの見直しを行い、段階的な整備、再編の検討を進めます。

 7-3 市内関連施設とのネットワーク
 ネットワークの対象には、小中学校、高校、短大、大学、美術館、博物館などや官公庁、各種研究機関などが挙げられます。
 特に小中学校では、平成14年度に学習指導要領の改定が行われ、子どもたちが主体的にテーマを決めて学習にとりくむ「総合的な学習の時間」が設けられることになっており、図書館が広く活用されることが考えられます。そのため公共図書館でもさらに資料活用のアドバイスが必要となると同時に、本のおもしろさを伝えるために職員が学校を訪れ、利用案内をすることも重要なサービスになります。
 また、短大や大学図書館と連携することによって、専門資料などの入手が可能になり、市民の要求に応える幅を広げることができます。これは、短大や大学図書館側にとっても同様の効果をもたらすことができ、相互にそのメリットを共有することができます。
 さらに、官公庁や各種研究機関と連携することにより、専門的情報の収集、提供にもつとめます。

 7-4 市外関連施設とのネットワーク
 帯広市は十勝圏の中核都市であることから、図書館も管内町村との連携を図る役割を担っています。今後は、複数の自治体による情報の共有化や、資料の相互利用をすすめることにより、市民の広範な資料要求にも応えられるような環境の整備が必要です。
そのためには、十勝圏の核となる図書館が必要であり、十勝圏の町村図書館と協力し、より充実した方向へ市民サービスを発展させるための、ネットワークの要として機能する必要があります。したがって、新図書館の施設規模や情報管理システムにおいてもそれに見合う規模の整備をし、十勝圏全体の図書館機能の充実に寄与します。
 また、将来にわたる資料の効率的運用を視野に入れた、資料の分担保存の検討をすすめます。

 7-5 マルチメディアを活用したネットワーク
 現在は、パソコンやインターネット等の普及により、様々な情報源に容易にアクセスすることが可能で、より効率的なネットワークの構築ができるようになってきました。
 帯広市でもこれらのマルチメディアによるネットワークの特性を生かし、行政情報や学習情報などさまざまな情報を発信する、『北のくらし情報システム』を構築しています。また、文教施設を結ぶ『風の子ネットワーク』の計画も進められています。図書館でもこれらの地域情報ネットワークを有効に活用するための方策を検討し、より広域的な情報サービスの展開をすすめていきます。
 また今後は、通信衛星を利用したサービス展開も考えらます。国が進めるこれらの事業の動向を見極めつつ、実効性の高い講座・研修の機会を市民に提供していくことを検討しなければなりません。さらに、新館開館後には地域の資源を活用した情報を全国に向けて発信することを目指していきます。

 7-6 サービス網を支える物流
 インターネットの活用によって、様々な図書館の所蔵情報が確認できるようになりましたが、資料の流通がともなうことにより、貸出サービスが充実することになります。
 資料の流通方法については、道立図書館や十勝圏の図書館と協議し、市民の要求を速やかに満たす方法について検討をすすめます。 
8 コンピュータの利用

 8-1 コンピュータ利用の意義
図書館の基本的機能である資料提供サービスを充実させるため、かつて貸出や目録の作成などに様々な工夫が行われてきました。
情報社会といわれる現在は、市民が必要とする資料・情報を効率的かつ的確に提供するためにコンピュータを活用することが、図書館の運営やサービス業務に欠かせなくなっています。
コンピュータ・システムの構築と活用に当たっては、その役割を明確にしておく必要があります。
 コンピュータ・システムの主な長所は次の通りです。
 (1) 資料・情報の正確な管理
 (2) 貸出、統計、発注などの図書館管理業務への迅速な対応
 (3) 館内資料の所在や内容の速やかな検索
 (4) 他館とのネットワークによる相互検索
 (5) インターネットなどを利用した、情報発信サービスの提供

 8-2 図書館システムの導入
 各コンピュータメーカーが開発する図書館トータルシステムは、この10年間で大きく進歩してきました。これまでは汎用機を使った集中型のシステムが中心でしたが、近年は分散型システムが主流となっています。これは、パソコンを使用したシステム構成であるため、経費的にも安価で、使い易くなっています。図書館システムの導入に際しては、費用対効果についての分析が必要で、次のようなポイントを押さえることが重要です。

 (1) 自館の業務を反映させたシステム
 既成ソフトでも自館のサービス展開に合わせたある程度の変更は可能であり、これからの業務のあり方を検討した上で、システムを選定し、改造要求を行う必要があります。
 (2) 操作性、運用性に優れたシステム
 操作性が安易であるとともに、習熟研修体制の支援や、メンテナンス体制の充実についての見極めも必要です。
 (3) 利用者にとって使いやすいシステム
 利用者にとっての使いやすさを重視し、利用者用端末(OPAC)を設置し自由に資料検索できるようにするとともに、インターネットの活用により自宅や学校・職場から図書館の所蔵情報を検索できるようにします。
 (4) 信頼性、柔軟性の高いシステム
 不正使用の防止、風水害、地震などの危機管理への対応力と、ネットワークの拡大、機器類の開発、新たな情報メディアの出現等に対応できる拡張性・柔軟性をもったシステムであることが必要です。

 8-3 所蔵資料データベースの構築
 現在の図書館にはコンピュータ・システムが導入されていません。したがって所蔵資料のデータベース化もいまだ行われていませんが、データベースを構築する場合は市販書誌データであるMARC(マーク。機械可読目録)を活用するのが合理的です。MARCの選定にあたっては図書館相互にデータを共有することも視野に入れ、情報精度と情報量の両面から充分に検討し決定します。
 また、図書館が受け入れる資料の中でMARC化されていないものについては、入力規則を定め他のデータとの統一性を図ります。

 8-4 電子メディアの活用
  8-4-1 単体化した電子メディア(CD-ROMなど)の活用
近年、書籍、辞書、統計資料などのCD-ROMによる出版が増えています。二次資料のCD-ROM版(目録、雑誌・新聞記事索引のCD-ROM版など)はレファレンス・ツール(相談業務に用いる種々の要具)として有効あり、これらは購入条件から、館内閲覧に限定する図書館が多くあります。
したがって、新図書館ではCD-ROMなどの単体化した電子メディアは、主に、レファレンス・ツールとして活用することとし、利用者用には館内の公開パソコンにより閲覧してもらう方法を採用します。

 8-4-2 インターネットの活用
インターネットには、通信部分における基盤整備が世界的に整っていること、双方向性があること、自前で簡単に情報発信ができること、そして使用方法が標準化されていることの4つの大きなメリットがあり、情報提供機関である図書館はインターネットを積極的に活用する必要があります。

公共図書館での活用方法には次の4つがあります。
 (1)館内に公開用のパソコンを設置し、各種のホームページ情報を自由に見ることができるようにする
 (2)図書館がもつ情報をホームページを使って公開する
 (3)電子メールを活用し、レファレンスやリクエストなどに応える
 (4)インターネットをレファレンス・ツールとして活用し、市民からのさまざまな問い合わせに応える

これらの複合的な実施によりサービスの向上を図ります。
ただし、インターネットの活用には、次のような問題点もあります。

(1) 各種のホームページが有する著作権の問題
インターネット上にある個々のホームページには著作権が発生しています。
利用者の求めに応じ、許諾なしに図書館でホームページを印刷することは現在の著作権法上では許されていません。図書館の所蔵情報ではないことから著作権法第31条「図書館等における複製」を適用することもできません。
しかし、利用者からの要求ごとに著作権者の許諾を得ることも現実的とはいえず、この問題は、一公共図書館で解決できるものではありませんが、インターネットの公開にあたっては注意しなければなりません。

(2) 公序良俗に反するホームページの閲覧の問題
公序良俗に反するホームページ利用の制限を利用規定に盛り込み、フィルタリングソフト(公序良俗に反するホームページを表示しないソフト)の活用などの運用面の検討が必要です。

(3) 有料化の問題
外部データベースの活用に対する受益者負担については、図書館の無料の原則との関係から問題となった経過がありますが、図書館の所蔵情報でないということで有料化への道が開かれた形になっています。
しかし、パソコンを所有しない情報弱者に対しては、情報の確保を保証する機関として図書館が無料の原則を堅持すべきであるという考え方もあり、どのような対応をすべきか充分検討する必要があります。
今後インターネットを活用したサービスが大きな部分を占める可能性が高く、積極的な活用を目指します。
9 市民参加による図書館づくり

 9-1 市民参加の意義
図書館法第3条は、図書館サービスが「土地の事情及び一般公衆の希望」にそって行われることを求めています。そのため、新図書館の構想づくりや計画づくりの過程で多く市民の意見や提言を受け、基本的な方向づけに活かしてきたのと同様、建設計画や、開館後の図書館運営に市民の意見を積極的に取り入れ、「市民が考え、つかい、育てる」新しい時代の図書館づくりを協働で目指します。

 9-2 図書館協議会
図書館法第14条は図書館の運営に市民が意見を反映するしくみとして「公立図書館に図書館協議会を置くことができる」としており、図書館協議会は図書館の民主的な運営を図るという点で重要な役割を担っています。
本市においても昭和45年に設置されて以来、館長の諮問に応じ、図書館の運営に意見を提出する機関としてその役割を果たしています。特に、新図書館建設に向けては多くの先進図書館を研究して「帯広市図書館基本構想」を答申するなど、市民の望む図書館づくり実現のため、積極的な活動を行っております。そのため、今後も市民参加の公的な機関として、図書館に寄せる市民の期待や意思を反映した意見をもらいつつ、図書館の運営に反映させていきます。

 9-3 市民ボランティア
 市民のもつ知識や技術、あるいは善意を図書館活動に提供してもらい、サービス活動のさらなる徹底を図っている図書館が多くなっています。このことは、図書館が、ボランティア活動を通して自己実現や社会貢献を図ろうとする市民に、活動の場や機会を提供するというかたちで支援しつつ、一方では、図書館の活動内容を豊かにするためにボランティアの参加支援を受けるという構図といえます。この相互の支援関係は生涯学習の時代にあってますます必要性を増してくると思われます。ボランティア活動は大きく三つに分けられます。

(1) 直接市民サービス
 専門的技術や能力を活かした活動で、障害者サービスの対面朗読、録音図書・拡大写本・さわる絵本製作、児童サービスのお話・読み聞かせなどのほかに、郷土史研究家を中心とした相談業務アドバイザー、市民文庫の運営協力などがあります。

(2) 側面からの支援
 年齢や性別、職業に関係なく、自分のスタイルに合わせて図書館活動に関わっていくもので、本のリサイクル市、講演会、展示会の開催や視察案内、広報活動などがあります。

(3) 図書館への好意
 図書館に好意を持ち、自らの意志で行うもので、図書購入費の寄付のほか、本の寄贈や花壇や庭の樹木の手入れ、生け花、その他環境美化などがあります。
 これらのボランティア活動を総括する組織として「図書館友の会(仮称)」の発足が期待されますが、図書館はこれら市民の意志を積極的に受け入れるとともに、「友の会だより」などのコミュニケーション情報誌の発行ができるような環境づくりを行い、図書館活動の協働化を図ります。
 また、市民が自発的にボランティア活動に参加していくためには、ボランティアの養成も欠かせません。そのため、図書館の基本的な理解や、活動する分野の知識や技術の取得を目的としたボランティア養成講座の計画的な開催につとめます。
 図書館の建設にあたっては、これら市民ボランティアの活動の拠点となるボランティア室の確保が必要となります。

10 図書館の管理・運営
 10-1 基本的な考え方
図書館運営はサービス計画に基づいてすすめられ、その基本は「市民の図書館」として資料提供サービスが十分に機能するように取り組むことにあることから、新図書館では21世紀の情報社会、生涯学習時代に対応した総合的な図書館サービスの展開をすすめます。それにより、現在とは比較にならないほどサービス「量」は増大し「質」は高まるため、業務体制に見合った、館内外の条件整備をすすめ、サービス目標の実現に努めて、市民の信頼に応えていく必要があります。

 10-2 組織・機構
図書館が設定するサービス目標を達成するため、サービス網整備計画などの検討を踏まえ、望ましい図書館の組織・機構を定めます。
組織・機構は館長のもと、3つの業務に分けることができます。

1 貸出サービス、児童サービス、ヤングアダルトサービス(青少年サービス)、高齢者・障害者サービス、視聴覚サービス、集会活動、移動図書館サービス
2 レファレンスサービス、地域・行政資料サービス、相互貸借、蔵書管理
3 図書館協議会、図書館ボランティア、広報、出版事業、コンピュータシステム管理、庶務

図書館職員の必要人員は、一般的には年間貸出冊数30,000冊に1人を目安としていますが、サービス内容や重点の置き方によっても異なるため、開館時間や諸条件を考慮して体制を検討します。
配置にあたっては、専門職員(司書)を中心に、業務内容に応じた職員数とし、職員の資質とともに、年齢や経験年数のバランスに配慮し、市民の期待に応えることができる図書館をめざします。
また、事務分掌に担当制(スタッフ制)を取り入れるなど、柔軟な方法も検討します。

 10-3 職員体制(専門職員のあり方)
図書館が市民の信頼を得て図書館サービスを展開していくには、専門職を核とした職員体制をつくることが必要です。
職員一人ひとりの力量は、自己研修や職場内外での研修で培われるとともに、日常の業務においても蓄積されます。市民に役立つ図書館とは、資料と人を結びつけるために、個々の専門的な知識や技術を集団の力として発揮させていく運営姿勢にあるといえます。
職員は、自らの任務を果たすために、「図書館の自由に関する宣言」(1979年日本図書館協会決議)や「図書館員の倫理要領」(1980年 同決議)を十分理解し、市民の信頼にこたえる図書館づくりにつとめなければなりません。
新館においては開館時間の延長等も実施するため、職員は恒常的な変則勤務となることから勤務環境の整備につとめる必要があります。
05.新図書館の建設計画
11 建設計画
 11-1 新図書館建築の基本要件
  11-1-1 新図書館の機能
新図書館の果すべき機能は以下の6点です。
  (1) 市民の図書館としての機能
  (2) 市の中心図書館としての機能
  (3) モデル図書館としての機能
  (4) 十勝圏の中核図書館としての機能
  (5) 保存図書館としての機能
  (6) 文化のシンボルとしての機能

  11-1-2 資料収集規模
    
 資料種別  細分類 規模
開架図書  基本的図書 15,000冊
 一般図書 120,000冊
 地域・行政資料 30,000冊
 青少年図書 5,000冊
 児童図書 30,000冊
 ( 小計 ) 200,000冊
視覚障害者資料  視覚障害者資料 2,000冊
新聞・雑誌  新聞 20紙
 雑誌 400誌
視聴覚資料  CD、カセットテープ 5,000点
 ビデオテープ 5,000点
保存書庫  収蔵能力 200,000冊相当

 11-2 建築計画の基本事項
図書館は、あらゆる年齢層の利用者に無料で開放された施設です。また、開館時間中であれば自由な時間に訪れることができ、館内の室・スペースを利用して好きなだけとどまることができるという特徴をもちます。
具体的に、図書館の望ましい姿をまとめれば以下のようになります。

  11-2-1 安全であり、快適である図書館
(1) 建物の安全
安全で快適であることは、古来から人間が建物を造ってきた理由の一つであり、建築にあたっては以下の基本的事項に配慮します。
 ・高齢者や児童が床で転倒したり階段から転落する恐れがない
 ・家具や壁などの角でけがの恐れがない
 ・防災設備などの災害に対する備えと、その適正な維持管理ができる
 ・温度、湿度、空気の質、照明・採光、音などのコントロールが、省エネルギーと快適さの両立したシステムであり、各室ごとに調整可能である

(2) 資料の安全
図書館の安全には、資料管理の安全という側面もあり、資料が所定の位置にあることは、利用者に信頼される図書館の条件です。
 ・資料の亡失を防ぐために、BDS(ブック・ディテクション・システム:未手続き図書持ち出し防止システム)による資料管理を行う

  11-2-2 入りやすく、親しみやすい図書館
 図書館はあらゆる人が、気軽に利用できる施設でなければなりません。
 そのためには、入口が分かりやすい、アプローチと段差がない、自動ドアであるなどの物理的な面と、建物が威圧的でなく、人を引きつける魅力を持つなどの心理的な面の両方を満たす他、以下の点に配慮したスペースづくりとします。
 ・館内は楽しく明るく親しみやすい雰囲気とする
 ・見通しがきき、自分の行きたい場所が分かりやすい
 ・ゆったりとした中に適当なにぎわいがある
 ・静粛を強いることがないよう、独立した静寂なスペースがある
 ・ゆとりのスペースがあり、居心地のよさがある
 ・雰囲気を和らげるために観葉植物や絵画などを適宜配置する

  11-2-3 使いやすく、働きやすい図書館
(1) 低層建築物
一層当たりの面積を大きくした低層の建物とすることで、階段などの面積が減り、 図書館として有効に利用できる部分が多くなります。また、見通しがきいて館内がより分かりやすくなるため、職員の目も行き届きやすく、サービスの向上と管理が容易になります。
(2) 機能的
各部屋やスペース相互の位置関係を合理的かつコンパクトに配置します。これにより、利用者と職員の歩行距離を短くすることができ、使いやすさ、働きやすさが向上します。
さらに、無駄を排したコンパクトな建物は、建設費や維持管理費を減らす効果も期待できます。 
(3) 書架と座席、資料と人とが一体になったもの
多くの資料を、探しやすいように開架式で並べ、すぐに取り出して読めるようにします。

  11-2-4 変化・発展に対応できる図書館
図書館の資料は年々増加し、利用者も増加します。また、資料の形態や図書館サービス、利用者の要望も時代とともに変化します。このような質と量の変化に、長い年月耐えるようにようにするには、スペースの融通性と拡張性をあらかじめ考えておく必要があります。計画や設計では具体的な場所や、サービス内容を検討した上で、固定の壁を最小限にし、さらに床に段差をつくらないことでフレキシビリティ(適応性)の高い建物とします。

  11-2-5 あらゆる人が魅力を感じる図書館
図書館には本を借り、調べものをする人、雑誌を読み音楽を聴き映画を見る人、集会に参加する人など、様々な目的をもった人が来館します。読書を例にとっても、ゆったりとしたソファで読む、いろいろな本を広げて読み比べる、個人席や個室で読書に没頭する、グループで読書会をもつなど、様々な活用方法があります。
建築に際してはこのような来館者がそれぞれの目的をみたすとともに、特段の目的をもたなくとも、人と人との出会いや、交流の場となる雰囲気をもたせることに配慮します。

  11-2-6 ユニバーサルデザイン思想に基づく図書館
図書館は障害者、高齢者、両手に荷物を下げた人、妊婦などあらゆるハンディをもつ利用者や障害をもつ職員も、健常者と変わらぬ行動ができる空間の実現を意図したものでなければなりません。「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(通称:ハートビル法、1994年)では、公共図書館を含む特定建築物に、出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場、敷地内の通路についての配慮を求めています。設計にあたっては、ユニバーサルデザインの思想に基づき、ハートビル法の「誘導的基準」や、「帯広市福祉環境整備要綱」の基準を踏まえ、だれもが心地よい建物とします。

  11-2-7 美しく、機能的な図書館
地域の気候、風土や周辺の環境と調和し美しく機能的で、市のストック(財産)となるような建物とします。

 11-3 必要スペースの内容と構成

          
構成部門 主要構成要素 面積(m2) 備考
利  用  部  門 エントランス部門  エントランスホール
 地域情報コーナー
 休憩コーナー(自販機設置など)
(1) 130  
開架スペース  一般図書  図書  135,000冊
 座席 (さまざまなタイプで) 60席
1,330  2.5m2/人余裕度 1.5
 地域・行政資料  図書  30,000冊
 座席  20席
 貴重資料保管庫
500  
 青少年図書  図書  5,000冊
 コミュニケーションコーナー
95  
 児童図書  児童図書  30,000冊
 読書席 40席
 おはなしの部屋その他
390  1.4m2/人余裕度 1.5
 視覚障害者資料  資料  2,000冊
 閲覧スペース
 対面朗読室(1室)
90  大活字本等
 
 録音室を兼ねる
 新聞・雑誌  雑誌 400誌
 新聞数ヶ月分 20紙
 閲覧座席 20席(ソファー等)
115  バックナンバー1年分
 
 
 視聴覚資料  視聴覚資料 10,000点
 視聴コーナー(ブース形式)×10
 視聴覚資料編集室
110  
 個人用、複数用
 
 各デスク周り等  貸出デスク
 サービスデスク(児童、相談、地域)
 OPACのスペース
180  
 30m2×3ヶ所
 
 研究スペース  静粛読書室  40名
 グループ研究室
120  個室形式、一部ブース
 6人室×1室 
    (2) 2,930  
 集会・創造活動を
 援助する部門
 視聴覚室
 同付属室
 研修室
 展示スペース
(3) 250  100人収容
 機器室等
 20人
   
                   (1)+(2)+(3) 3,310
資料・管理・運営部門 管理・運営  作業室  選書作業室
 整理業務室
 地域資料研究室
 印刷、製本室
 荷解室
 配送室
 団体貸出室
210

 地域・行政資料作成作業


 専用図書収蔵スペースを含む
 事務室  館長室・応接室
 事務室
 会議室
130  
 その他  ボランティア室
 スタッフラウンジ(含む救護室)
 更衣室
 派遣職員控室
125   
 移動図書部門  移動図書館車庫
 移動図書館車庫、作業室
200
 専用図書 2万冊  
       (4) 665    
保存  書庫  閉架書庫(図書で20万冊収容) (5) 510  固定・周密書架
                        (4)+(5) 1,175
その他  通用口、廊下、階段、便所、倉庫、機械室、
 ダクトスペースなど
(6) 1,015  上欄の床面積の20%程度
 合計延べ床面積 5,500( (1)+(2)+(3)+(4)+(5)+(6) )


[資料配架スペースの面積算定基準]
1 一般図書:新書・文庫版図書、参考図書、大型図書を含む
 書架間隔(芯々・平均)1,800mm 書架1棚収容冊数30冊×0.8=24冊
 高書架収容力(1連6段・5段を使用、ネット)148冊/m2
 余裕度1.2(書架スペースに対して通路・ゆとり等で0.2の面積を見込む)
 ・必要面積 S=(135,000÷148)×1.2≒1,100m2

2 地域・行政資料
 高書架間隔(芯々・平均)1,800mm 書架1棚収容冊数30冊×0.8=24冊
 高書架収容力(1連6段・5段を使用、ネット)148冊/m2
 低書架間隔(芯々・平均)1,800mm 書架1棚収容冊数25冊×0.8=20冊
 低書架収容力(1連3段、ネット)74冊/m2
 高・低書架比率 高:低=2:1
 余裕度1.3(書架スペースに対して通路・ゆとり等で0.3の面積を見込む)
 ・必要面積 S=(20,000÷148+10,000÷74)×1.3≒350m2

3 青少年図書
 書架間隔(芯々・平均)1,800mm 書架1棚収容冊数30冊×0.8=24冊
 高書架収容力(1連6段・5段を使用、ネット)148冊/m2
 余裕度1.3(書架スペースに対して通路・ゆとり等で0.3の面積を見込む)
 ・必要面積 S=(5,000÷148)×1.3≒45m2

4 児童図書:絵本、紙しばいを含む
 書架間隔(芯々・平均)1,800mm、書架1棚収容冊数40冊×0.8=32冊
 高書架収容力(1連5段・4段を使用、ネット)160冊/m2
 低書架収容力(1連3段、ネット)119冊/m2
 高・低書架比率 高:低=3:1
 余裕度1.3(書架スペースに対して通路・ゆとり等で0.3の面積を見込む)
 ・必要面積 S=(30,000×3/4÷160+30,000×1/4÷119)×1.3≒260m2

5 保存書庫
 固定書架:書架間隔(芯々)1,350mm、書架1棚収容冊数40冊(棚余裕度なし)
 固定書架収容力(1連6段・ネット)395冊/m2
 集密書架収容力(1連7段・ネット)658冊/m2
 余裕度1.25(通路等の面積を見込む)
 ・必要面積 S=(100,000÷395)+(100,000÷658)×1.25=505m2
  *将来的には全市で350,000冊程度の保存書架スペースが必要

6 団体貸出専用図書収蔵スペース、移動図書館専用書庫
 固定書架:書架間隔(芯々)1,350mm、書架1棚収容冊数40冊
 固定書架収容力(1連6段・ネット)395冊/m2
 余裕度1.25(通路等の面積を見込む)
 団体貸出専用図書収蔵スペース:必要面積 S=(10,000÷395)×1.25≒30m2
 移動図書館専用書庫     :必要面積 S=(20,000÷395)×1.25≒65m2

建物面積表
単位:m2
部      門 床面積
 エントランス部門 130
 開架スペース 2,930
 集会・創造活動を援助する部門 250
 管理・運営部門 665
 保存書庫部門 510
 その他共用スペース 1,015
合      計 5,500

 11-4 各種の計画
  11-4-1 周辺整備と配置計画
(1) 周辺整備
図書館へ来る道は、幼児・身障者・高齢者にも安全で快適なものでなければなりません。
そのためには、周辺の街路整備や市の主要な箇所(駅など)からの案内図や表示を設置します。

(2) 敷地内へのアクセス
街路から図書館の中の様子をうかがえ、入りやすい雰囲気づくりをします。
車道からのアクセスや館内への通路は段差を設けず、屋外部分の床仕上材は、雨や雪の日にもすべらないものを選択します。
 ・車両の進入口は比較的交通量の少ない道路側に設定する
 ・徒歩と自家用車の来館者が交差しないように計画する
 ・徒歩の来館者の緑地側からのアプローチについても考慮する
 ・駐輪場は位置、台数とも適切なものとする

(3) 屋外スペース
図書館は公共施設として地域の環境を良くすることに役立つことも期待されます。文化のシンボルとなるような建物であると同時に、屋外は空間的な余裕を持った緑地に囲まれ、季節感を味わえるものとします。さらに、適度な活気や落ち着く場所もあるような周辺環境にマッチしたスペースづくりとします。
また建物は低層とし、壁面線も周辺境界に異質な感じを与えないような計画をします。

敷地面積
単位:m2
部      門 面  積
 建物部分(建築面積) 約 3,500
 駐車場・駐輪場 約 2,000
 緑地・通路等 約 1,200
合      計 約 6,700

 11-4-2 利用者用スペースの計画と設計
(1) 利用者用入口、エントランスホール
図書館への入口の数は最少とします。
入口周辺には総合案内、掲示・展示、新着資料の案内などのできる壁面を設け、エントランスホールはBDSのチェックポイントの外にし、休憩コーナーなどを設けます。
また、ここで集会部分と開架スペースとの動線を分離します。
なお、入口近辺に設けるブックポストは、いたずら防止、休館時の返却数を検討したものとし、返却された図書の館内への回収ルートにも配慮をします。

(2)カウンター
一般、レファレンス、児童、視聴覚資料、地域・行政資料のように、サービスごとに独立したカウンターを設置し、運用することで、よりきめ細かなサービスを提供する方法があります。しかし、より効率的な運用を図るためには、できるだけカウンターの数を減らし、集中管理ができる体制を作ることが必要です。
新図書館の規模から考えて、カウンターを1ヵ所にして集中管理することは困難ですが、各サービスに対する配置計画を綿密に行い、各階ごとにカウンターをまとめることは可能です。
1階の総合カウンターでは、資料の貸出しとともに、クイックレファレンス、読書相談に応ずることになります。最近の先進的な図書館では、図書館の総合的案内をする相談窓口を意識的に設置し、利用者が声をかけやすいように工夫をしているところもあります。いずれの方法をとるかは早期に検討しなければなりません。

(3) 開架スペース
1 全体計画
 できるだけ固定の仕切りのない、フレキシビリティ(柔軟性)の高いワンルームの空間とします。その上で、書架のレイアウト、天井の高さ、各部の仕上げ材料、開口部の面積、照明方法・照度の変化と色彩計画などにより、個々の機能空間に独自の雰囲気をもたせるようにします。

2 書架レイアウト
 書架レイアウトは図書館側の策定する資料配架計画との整合を図りながら慎重に検討する必要があります。高書架・低書架を適宜まじえたレイアウトを基本とし、書架間隔は資料種別・内容ごとに想定される利用者数に対応できるものとします。

3 地震に対する対策
 地震の際には書架が転倒したり、横に滑らないように、自立型書架はすべて床にアンカーボルトで固定し、壁面書架は壁に固定します。
 また、コンピュータの端末等はテーブルに固定する方式をとります。

4 仕上げ材料等
床:車椅子やブックトラックなどの移動がスムーズに行えるように原則として床に段差を設けないこととし、視覚障害者の誘導のためには必要な動線上(職員が対応可能な場所まで)に誘導装置を設けます。床仕上げの材料は、騒音、耐久性、清掃等を考慮して選定します。
特に、児童スペースでは床に座り込む子供が多いことから、清潔な状態が維持しやすいものを選びます。

壁:館内の壁面はインテリアや書架の効率的収納を考える場合に重要な部分となります。また、ポスターや掲示板の位置としても有効であり、スペースの変更を容易にするために、間仕切り壁はできるだけ少なくして、移動が可能であるものにします。
このことから、耐力壁は合理的で最小となるように配置を検討します。

天井:天井は書架や読書スペースなど、その性格に応じて高さや仕上げ材を考えます。特に書架列に圧迫されて窮屈な感じにならないように、できるだけ高さを確保し、仕上げ材は吸音性能を重視したものを選択条件とします。

階段:安全に昇降のできる十分な幅と踏面・蹴上げ寸法をとり、手すりは握りやすく堅牢なものとします。場合によっては幼児と大人の寸法に合せて2本つけることも検討します。

5 利用者用便所
 利用者用便所は各階に設けます。障害者や子どもづれにも利用可能な多目的便所(手すり・オムツ換ベット・乳児椅子等の設置)を検討します。

  11-4-3 技術的な計画等
設備の設計について、以下の点に留意します。
(1) 空調設備
全館に冷暖房設備を導入し、各室・スペースごとに利用時間帯をコントロールできるシステムとします。吹き出し口は低騒音型のものを選定します。また、窓の開口部の位置を考え自然の通風を取り入れることも検討します。

(2) エレベーター
業務用と利用者用の兼用機種とします。

(3) 配線・配管設備
図書館では、電話やコンピュータによる様々なサービスが展開されるので、電気の配線には十分な容量を見込んでおき、事務室はフリーアクセス床とします。また、利用者端末機は開架スペースのいろいろな場所に置かれることが想定されるため、あらかじめ線・ケーブルの取り出し口の位置、機器までの配線方法は慎重に検討します。

(4) 照明・採光計画
一般的に照度は机面上で1,000ルックスが必要とされています。
天井からの照明、トップライト等からの採光、手元照明を組み合わせて適切な照度が得られるように省エネルギーも念頭におき計画します。また、書架上の照明は本の背表紙が見やすくなるように留意します。コンピュータ端末の設置場所における照明・採光はまぶしさを除くような配慮をします。

(5) 色彩計画
色彩は楽しい雰囲気をつくるために効果的であるため、選定にあたっては、外壁・室内仕上げ、家具、サイン等全体としての調和を図ります。

(6) そ の 他
館内放送設備を設置し、全館の電源の制御は事務室内で行えるようにします。

 11-5 家具・備品、サイン計画
図書館における家具のデザインと配置は、資料利用の便・不便に直接かかわると同時に、室内空間の重要な構成要素となります。したがって、資料配置計画の詳細な検討とともに、それに対応した家具の選定やデザインを入念に行います。

  11-5-1 家具・備品の種類
(1) 資料の陳列
  図 書   書架(高書架、低書架、絵本架)
  新 聞   新聞架(投げ込式、バインダー式)、保存棚
  雑 誌   雑誌架(バックナンバー保存棚も)
  視聴覚資料 カセットテープ架、CD架、ビデオ架
  地 図   地図ケース、地図帳台
  その他   紙芝居架、ファイリングキャビネット(マイクロフィルムなど)

(2) 資料の利用
  資料検索端末置き台
  閲覧机(キャレル、1人用机、2人用机、4人用机など)
  読書用テーブル(丸テーブル、小机一和室用など)
  機器(CD-ROM、ビデオ再生機、コンピュータ端末など)用テーブル

(3) 案内、相談、貸出など
  サービスデスク、相談デスク
  掲示板、館内案内板
  ブックトラック(図書運搬台)
  コンピュータ端末テーブル(OAテーブル)

(4) 事務・作業用
  事務机、椅子、作業台、応接セット、ブックトラック(図書運搬台)、その他

  11-5-2 家具・備品の計画と設計
書架やデスクをはじめとする多くの家具は、館内のインテリアを大きく決める要素ともなるので、そのデザインや選択は大変重要な作業といえます。
家具・備品は機能的で使いやすく丈夫であることはいうまでもありませんが、そのうえに美しく、建築と調和しているものを選定します。
新館において特に留意すべき事項は以下のとおりです。

(1) 家具・備品
 ・選定、発注にあたっては、家具の専門家ならびに建築設計者と充分協議し、検討する
 ・類似量産品を実際に見て原寸の確認をする

(2) 書 架
 ・書架配列は、書籍が目に付きやすいよう工夫するとともに、全体の配置がすぐわかるように低書架・高書架を組み合せる
 ・利用しやすい書架の高さ、棚の奥行きを考える
 ・雑誌架、絵本架などは表紙が見える形式とする
 ・一般書架と異なるタイプの書架については家具配列上もアクセント・ポイントとなるため、デザインはバラエティーを持たせる

(3) 机・椅子 
 ・読書、閲覧机は、読書の目的と雰囲気にあったものを種々用意すること
 ・椅子は多くの形式・形状があるが、机やスペースの性格、雰囲気との調和を図りながら、座りやすく、堅牢で、形のよいものを選ぶ
 ・児童スペースの机、椅子は児童の年齢層に応じて形態や大きさを変える

(4) カウンター、サービスデスク
 ・使い方を具体的に想定して必要要素をきめ、配置の変更やサービス・システムの変更にも対応できるようにする。
 ・貸出、返却カウンターの台面の大きさは、貸出方式、貸出と返却の量、機器(特にコンピュータ端末)の置き方によって異なるため、使いやすく良いものを慎重に検討する
 ・高さについては、立姿勢の場合は90~100cm、座姿勢で70cm程度とされているが具体的なサービスの仕方を検討したうえで決定する
 ・障害者も無理なく利用できる高さ、台面に配慮する

(5) コンピュータ・OA機器、AV機器に係わる家具
 ・コンピュータ関連機器に係わる家具については、作業内容と動作を考慮したうえで設計・選択する

  11-5-3 サインの計画と設計
図書館のサインと表示には、総合案内から個々の書架サインなどさまざまな種類がありますが、幼児から老人まで、それぞれの目的に応じて分かりやすいものでなければなりません。そのため表示の内容、書体・大きさ、色彩などが、目的に応じて判別しやすくなっていることが必要で、ピクトグラム(絵文字)などを使用することも考えられます。
サインや表示は館内デザインのアクセントにもなるため、形に凝りすぎて意味の伝わりにくいものにならないような工夫をします。サインは、表示する内容によって案内(全館配置図等)・誘導(出入口等)・定点(室名等)・禁止規制(禁煙等)に分類されますが、明確な目的をもってあらかじめ建築設計と併行して計画を進めなければなりません。

(1) 案内・サイン計画の考え方
・サインの種類、機能および配置をあらかじめ考えておき、個々の表示は自立性・個別性が高くかつ、簡単で互換性が高いものとする
・全体としての統一感・連続性をもたせたものとするが、設置は出来るだけ少ないものとし、経済的なシステムとする。なお、サイン・表示のとり付けは、建物の天井、壁面にとり付ける方法、家具にとり付ける方法、床面やデスクの上に自立させる方法などがありますので、建物の設計段階で検討します。

(2) 利用者が玄関ホールに至るまでに必要なサイン
 ・分りやすく、遠くから見える位置に館名表示板を設置する
 ・玄関前などの来館者がまず目にする位置に利用案内や掲示板を置く
 ・玄関ホールなど入館したら目につく所に館内案内(全館の内容や構成を示す案内)を設置する

  11-6 駐車場の規模
  11-6-1 来館者数の推計
図書館の規模と係わる新館の来館者数は、他都市の事例や将来貸出し冊数などから、現在と比較して概ね2.7倍と想定します。平成10年度来館者は105,860人 /年であることから、新図書館については289,200人/年の来館者を見込みます。
また、平日と土・日曜日の来館者の比が1:1.5であることから、新図書館においては、平日は約890人、土・日曜日は約1,320人と想定されます。
来館者推計内容は以下のとおり。

◎ 来館者数の推計内容
(開館日数280日/年計算)
主たる来館目的 現図書館 増加率(B) 新図書館
年間来館者数(A) 年間来館者数
(A×B)
1日当たり
来館者数
 本の借受、返却 105,860人 2.732 289,200人 1,033人
 本、雑誌等の閲覧
 調べ物・学習
 AVブース利用
 AV資料の借受、返却
 図書館行事・その他

項      目 現図書館 新図書館 備   考
1日平均来館者  平 日
            土・日
330人
480人
890人
1,320人
平日と土日の比率
平日 : 土日 = 1 : 1.5


  11-6-2 駐車場規模の想定

自動車保有率が高い本市においては、適正な駐車場規模を確保しなければなりません。
駐車場規模は、11-6-1来館者数の推計で求めた新館来館見込者数に平均(/時)集中率(*1)又はピーク時集中率(*2)に自動車使用率(*3)を乗じて、それぞれの時間別平均台数とピーク時台数を求め、両者の平均値を駐車場台数の目安とします。(別表1・2)
   平 日 (平均台数58台、ピーク時台数76台)の平均値: 67 台
   土・日曜日 (平均台数62台、ピーク時台数91台)の平均値: 77 台
上記の推計値から、概ね75台程度の駐車規模を想定します。
なお、集会事業時における不足については、市庁舎駐車場等を利用します。

(別表1) 平成11年度実態調査による集中率等

項  目 平  日 土・日曜日 備  考
 *1 平均(/時)集中率 13% 11% 平成11年度の実態調査から
 *2 ピーク時集中率 17% 16% 同  上
 *3 自動車集中率 50.2% 43.0% 同  上

 *1 平均(/時)集中率:全来館者に対する、時間毎在館者の平均の割合
 *2 ピーク時集中率:全来館者に対する、ピーク時の在館者の割合
 *3 自動車使用率:全来館者に対する、車を運転してきた人の割合

(別表2) 新館駐車場推計台数

項  目 平  日 土・日曜日
 1 平均/時の駐車台数 58台
(890人×13%×50.2%)
62台
(1,320人×11%×43.0%)
 2 ピーク時駐車台数 76台
(890人×17%×50.2%)
91台
(1,320人×16%×43.0%)
 平均駐車台数(1 + 2)/2  67台
(58台+76台)/2
77台
(62台+91台)/2
 想 定 台 数 概ね75台程度

 11-7 新図書館の位置

新図書館は、来館利用およびコンピュータ・ネットワークを介するなどの非来館利用のいずれかを問わず、すべての市民に対してサービスを提供するための施設であることが、立地を決定する大きな要因となります。
そのため、図書館はできる限り多くの市民が来館しやすいことが第一条件であり、都市機能の集積、交通の利便、障害者や高齢者の安全性などがその要件となります。
また、他市町村への支援・連携サービスなど、十勝圏の中核施設としての機能を発揮するためには、管内住民も来館しやすい場所であることが望まれます。

  11-7-1 選定の条件

敷地の選定にあたり、具体的な立地条件は数多くありますが、特に重要なものは以下の通りです。これらは図書館の位置と敷地にかかわるものであり、この両者は基本的には不可分のものですが、選択の視点を明確にするために区分して整理します。

(1)位置にかかわるもの
1.近づきやすさ
 直接サービスにとっては最優先の立地条件であり、バスや自家用車など、多様な交通手段による利便性が高いこと
2.集まりやすさ
 主要交通網の結節点に近いなど、利用者の「時間距離」が最小であること
3.地区の社会環境
 市役所など密接な相互関係がある施設や、相互協力の見込まれる文化施設などと適切な位置関係にあること
4.地区の将来計画
 都市計画や道路網の整備計画、バスなど公共交通の将来構想など当該地区に係わる諸計画との整合が図られること

(2)敷地にかかわるもの
1.分かりやすさ 
 多くの利用者を得るために、分かりやすい敷地であること
2.敷地面積
 利用者が使いやすい低層建築物と適正な規模の駐車スペースが確保できること
3.敷地形状
 土地利用や設計上の自由度が高い整形地、平坦地であり、歩行者と車両の分離ができるような2方路以上に接すること
4.利用者の安全性
 障害者、高齢者などの利用に障害となる坂や段差がなく冬季や夜間であっても安全かつ容易に来館できること
5.敷地の環境条件
 周辺の緑地、日影、騒音などに留意すること
6.法規制や条件等
 都市計画法、建築基準法など関連する諸計画と適合すること
7.取得の難易度
 所有・権利関係、経費など用地の確保が容易であること

  11-7-2 適地の選定

新図書館の位置については、基本構想及び選定の基本的な考え方を踏えて、相対的かつ総合的な比較検討を行った結果、利用者の立場を最優先に考え、将来とも最も多くの利用を見込むことができ、かつ利便性の高い場所として、都心地区内に位置する「中央公園北側広場」を適地としました。
 主な選定理由
 ・道路交通網やバス、鉄道など公共交通機関による利便性が高い
 ・市全域からの利用に要する「時間距離」が最小である
 ・敷地内に低層の建物と専用の平面駐車場が確保できる
 ・隣接地に十分な緑地が確保されるなど、周辺環境が比較的良好である。
 ・ボランティアを含むすべての利用者が安全・安心かつ容易い来館できる(冬季、夜間、地形、駐車場からの距離)
 ・都市機能が集積する市の中心部に位置し、日常生活の動線上にあることから、図書館の多様な利用形態に適する
 ・敷地の形状が良好であり、利用状況と将来計画、建築制限など土地利用上の条件が少ない

 11-8 建設スケジュール
項  目 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
設  計 基 本 設 計
地耐力調査
実施設計    
工  事   本 工 事 本 工 事 本  工  事
外 構 工 事
その他 資料の電子化 資料の電子化 資料の電子化
視 聴 覚 機 材
資料の電子化
視 聴 覚 機 材

 12 建設から開館まで

  12-1 建設準備専任スタッフの配置

図書館建設をすすめていくためには、これまでの検討の蓄積や優れた図書館の調査、本計画書をはじめとする様々な資料をベースに、新図書館の建設に関わる多くの人々が「図書館」についての基本的な理解と認識を共有することが大切です。 
そのうえで、建設準備から開館準備までに携わるチームの組織化が必要です。チームの担当する業務は以下のとおりです。
(1) 図書館サービス計画の準備
1 実地調査と資料収集
最近のすすんだ図書館サービスを実地に調査、体験し、関連する資料を収集する

2 図書館サービス計画の立案
本計画を基礎にさらに細かな実施計画を立案・策定する

3 条例・規則等の再検討
図書館設置条例を始めとする現行の条例・規則を新図書館における新しいサービス方針に即して再検討する

4 職員の確保と研修計画の立案
職員体制(組織、業務内容、人員)を踏まえ、実地研修計画を立案する

5 資料の選択・発注及び基準等の作成
サービス計画に基づき、必要な資料の収集方針を策定し、発注から受入れまでの手順、目録・分類の基準、装備の仕様等にわたる基準を作成する

6 業務の機械化の準備
コンピュータ導入に関する調査、ソフトの検討、機種等の選定に関わる業務の計画、立案

7 業務マニュアルの作成
各種業務マニュアルの検討、作成及び事務処理手順の検討

(2) 建物建設の準備
1 設計者選定のための諸準備
2 建設過程で必要となる様々な調査や必要な資料・データの収集
3 設計過程で建築計画書等にもとづき、設計者と具体的事項についての検討
4 関係部局等との連絡・調整・折衝
5 家具・備品・サイン等の具体的な検討と設計資料等の作成、物品の選定と発注等の事務
6 建設スケジュールの作成
7 その他、新館建設にともなう必要な事項

(3) 開館の準備
1 実施設計に移る時点から設計者の作業と平行して、資料の配架方式を検討し、決定する
2 新図書館のPRを兼ねて市民に事前登録を呼びかけ、利用者カードを作成する
3 図書館のPR、図書館利用案内の作成、開館行事の準備
4 その他新館オープンにともなう必要事項

  12-2 新図書館建設のプロセス

図書館は、企画→計画→設計→施工という一連の過程をたどり建設されます。
企画と計画の段階は、建物の目的を明確にし、図書館サービスの方針を立案し、そのために必要な施設計画をたて、予算の裏付けなどを総合的に検討するとともに、建設過程からみれば、設計へ進むための準備としての、成果物として建築計画書をまとめます。
設計の段階は、建築計画書に基づき、条件・要求を再検討し、それを建築空間として具体的に仕上げ、設計図書を作成します。
建設工事については、低廉で良質な公共サービスの提供ができる手法等の検討も必要です。

  12-2-1 設計者の選定方法
よい図書館建築をつくるためには、意欲ある優れた建築家を選ぶことが不可欠です。望ましいとされる選び方には次のような方法があります。

(1) 特命方式
設計者選定委員会のメンバーが、新図書館の設計をするにふさわしい特定の設計者を指名し、設計を委託する方式で、見学したうちの好ましい図書館の設計者や、発表された設計作品や論文などから候補者をあげ、ヒアリング等により特定します。

(2) ヒアリングによる方法
特命方式の一種で、望ましいと思われる設計者が複数いる場合に、それらの設計者に図書館建築に対する考え方や、市の図書館計画書に対する理解の内容・程度を聴き、これまでの設計例の提示も求め、その中から一人を選ぶ方式です。

(3)競技設計方式
建築計画書を提示し、これに従って計画案の提出を求め、審査委員会が入選作を決め、その提案者に設計を委託する方式です。参加者の求め方には、施主が複数の建築家を指名するもの(指名競技方式)と、一定の資格をもつ建築家なら誰でも参加できる公開によるもの(公開競技方式)とがあります。
この方式の場合には、応募案の作成には建築計画書が全てであり、建築計画書の不備な点を補ったり、設計条件の優先順位を修正することができません。
また、当選案選定後には当該案の大幅な変更は困難です。
なお、指名競技方式にあたっては以下の措置が必要です。
 1 優れた提案が期待できる建築家を指名する
 2 提案のために十分な期間を確保する
 3 適切な参加報酬を支払う
 4 審査は、建築や図書館の専門家を含む公正な審査機関(審査委員会など)にゆだね、その審査結果を尊重する
 5 審査を公開し、応募作と結果を公表する

(4)プロポーザル方式
競技設計方式と同じく複数の候補者の中から審査委員会が特定の設計者を判定する方式です。競技設計では図面による判定を行ないますが、この方式では設計者の建築観、図書館に対する理解、設計の考え方・進め方、設計担当者とチームの構成、これまでの実績などから総合的に判定します。多くの場合、計画条件にもとづいて設計のコンセプト(基本概念)や主たるプロポーザル(提案)を求めます。
最近は、一般公募をするプロポーザル方式も多くなっています。
なお、条件については競技設計方式と同じく、公正な審査機関、審査の公開、適切な報酬の支払いなどが必要です。
上記4方式のうち、図書館の設計者の選定は、創造性、技術力、経験を判断できるプロポーザル方式が望ましい。

  12-2-2 設計過程における図書館の関与
以上のいずれかの方法で選ばれた設計者によって設計がすすめられることになりますが、建築計画書が設計条件の基礎となります。設計過程には様々な段階があり、いろいろな判断が必要となりますが、設計者との打ち合せと折衝を頻繁に繰り返し、十分に図書館側の意図を伝えるようにしなければなりません。
また、節目節目には市民の意見を聞くことも必要です。

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